ワールドコン二日目

 SF大会ワールドコン二日目です。まずは予定を変更して「SF作家クラブ40年史」へ。目的はただ一つ、会員以外には売らないという「40周年記念誌」です。シンポジウムとはいいながら実際は小松左京の独演会の趣でしたね。ただ小松左京はもう自力で歩くことができず、総入れ歯になってしまっていたのですが、頭はしゃんとしています。しかも馬鹿話ばっかり。すげえなあ、と思ったのでした。
 次は「アヴァン・ポップ」。単なる前衛でもなく、単なるポップでもなく、政治的批評性を持った作品を「アヴァン・ポップ」と呼ぶのだそうで。ここでは笙野頼子が大爆発。「村上春樹なんかクソだ」「想像力だけたくましくしたってなんの変化も起きない」「想像力を養おうっていうのは自分が知らず知らずのうちに行っている抑圧をごまかす方便だ」と鋭いこと。外国人の村上春樹研究者が固まっていたのでした。笙野頼子といえば「タコグルメ」くらいしか読んでいないのですが、生きるためにさんざん戦ってきた人の凄みを見せつけられましたね。
 そして主戦場の「やおいパネルディスカッション」ですが…通訳の入るバイリンガルセッションなので、時間が足りなくなるのは仕方ないですね。向こうのスラッシュと日本のやおいの違いは分かりましたが、もう少し突っ込んだ議論が欲しかったのでした。100分予定のセッションで登壇者が7人ですから…。
 後は「コミックマーケットSF大会」。これは米澤嘉博の思い出を語るという会でしたね。米澤嘉博にとってSF大会は落ち着ける場だったとのこと。もともとSF研ですし責任もないから。だから合宿の時はいつもニコニコして話していたそうですね。どんな話題が中心か、と質問してみたのですが、いろんな話題をつなげて話していたとか。歴史を縦に見る人は多いが、米澤嘉博はその時点で面白くなっているいろいろな要素を横につなげて話していたそうですね。それが米澤のバランス感覚につながっていたと。なるほど、と思ったのでした。

 明日は「ゴシックカルチャー」「星新一」「おたくスタディーズ」「バルバラ異界」に行く予定です。どれも見逃せません!