ゲドを読む。

taimatsu_torch2007-06-07

 「ゲドを読む。」をもらってきました。これはなかなかすごい内容ですね。中沢新一による小説版の解説、小説版ゲド戦記についての論考集、そして宮崎吾郎河合隼雄の対談ですから。夏コミの原稿に向けて、ゲド戦記を再読しようと思っていたのですが、これは好都合。ネタ本にちょうどいいのです。

 アニメのことについては対談などで触れられていますが、「アニメにしたときにどう小説を読んだか」という内容になっているので、やはりメインは小説版といえるでしょう。形の上では「小説も読んでね」というメッセージのように思えますが、実際は「小説版は深みがある」「対してアニメ版は…」という冊子になっているように思います。この冊子自体がアニメ版の大いなる批評になっているのですね。可哀想だなぁ、吾郎…。

 ただ、宮崎吾郎にとっては明らかに敵が強すぎたんですね。しかも敵は3勢力います。ル=グウィン、観客、そして父親ですから。そうした強敵相手に相当苦戦しながらも、作品をそれなりの形にした吾郎は、やはりある程度の力量を持っていたのだと思います。次回作が本当の試練なんだと思いますね。そこで宮崎吾郎ならではの表現をして欲しいものです。