やな感じのイベント

 おたくなイベントに行ってきました。濃ーいおたくの人がいて、美少女とかアイドルとか触手とか大好きなので、その濃さを笑うというイベントでした。この人のおたくっぷりは実に好ましいものがありましたね。「くりぃむレモン」のチラシをフルコンプしているっていうんですから。

 ところが非常に気になったのが、ツッコミ役の芸人やサブカルライターの人たち。濃い人は触手への愛を淡々と語るんですが、それに対して「それ異常だから」「おかしいから」とツッコむんですね。確かに濃い人は過剰なほど触手が好きなので面白いのですが、触手はおたく文化において基礎教養といってもいいもの。それにこのイベントは触手バッチコイの人々が集まっている場。そこでこの人の異常性を笑うっていうのは…じゃあ君らの正常って何?と皮肉の一つも言いたくなってしまったのでした。しかもオタク芸人やサブカルライターを名乗っている人ですから。これまでメディアがやってきた珍獣扱いとちっとも変わらないのですね。それを「自分はオタクである」と自称する人がやってるのですから、ああ、やりきれんな、と思ったのでした。

 これは対象を「笑い飛ばす」という姿勢に強く結びついていますね。笑い飛ばすことは、対象をしがらみや抑圧から解放する機能を持っています。「解放」ですね。ですがもう一方で笑う側の特権化と笑われる側の従属を生みます。思えばおたく第一世代の人々は、いろんなものを笑い飛ばしてきたのでした。それがおたく文化を創り上げてきたことは間違いないでしょう。ですが自分たちの「正しさ」についてはあまりにも無自覚だったように思います。彼らが作り出したものはとても多かったのでしょうが、覆い隠したものも多かったのではないかな、なんて思ったのでした。